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5.皮膚感染症 A.疥癬症
(1)疥癬とは
ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei )が感染し、皮膚の表皮角質内で増殖して発症する。ヒゼンダニの雌成虫は0.4 mm の
大きさで、雄はやや小さい。交尾を終えた雌は、指間や陰部の角質内に侵入し疥癬トンネルを造り、1日1〜2個の卵を
産み続け4〜6週間で死ぬ。雄は交尾後比較的早く死滅する。卵は3〜4日で孵化し、2〜3回脱皮し約2週間で成虫に
なる。宿主から離れたヒゼンダニは、乾燥に弱く、数日間で死滅する。しかし温度12℃湿度90%の条件下では2週間
位生存することがある。また熱にも弱く、50℃で10分間で死滅する。卵は乾燥状態でも1週間は生存している。
(2)感染経路
人から人への感染、寝具・リネン類や医療器具等を介する接触感染である。
(3)感染の発症
疥癬は感染してから約1ヶ月の潜伏期間を経て発症する。症状・所見は、掻痒感特に夜間の激しい痒み、指間・手掌部
手首の線状の発疹(疥癬トンネル)、胸腹部・大腿部等に散在する紅色の小丘疹、腋下や陰嚢部の小結節等の皮疹で特徴
づけられる。
※ノルウェー疥癬−−−感染力がきわめて強い重症型で、寄生するヒゼンダニが100万〜200万匹に達するものを言う。
老齢・悪性腫瘍末期・重症感染症・栄養不良等、免疫能の低下している患者や、免疫抑制剤やステロイド剤を投与されて
いる患者に発生しやすい。また疥癬と診断がつかず長期間ステロイド外用剤を使用した場合にも、ノルウェー疥癬となり
得る。皮膚は角質が増殖し肥厚し、蛎殻状になる。
(4)感染予防対策(標準予防策、接触感染予防策)
@ 入院時、患者の皮疹の有無をチェックする。
A 入院中の患者について、入浴時等、全身の皮膚状態を観察する。
皮疹及び掻痒感があり、疥癬が疑われれば、皮膚検査を実施する。又は皮膚科受診を依頼する。
B 疥癬と診断されれば、原則として個室隔離する。複数の患者がいる場合は、同じ部屋に収容する。
重症疥癬(ノルウェー疥癬)は必ず個室隔離する。
C 入室時は、専用の予防着(ディスポーザブルが望ましい)を着用し、患者に接触する時はディスポの手袋を使用する。
D 退室後は、石鹸(アルボース)と流水(湯)で指間等十分手洗いする。
E 血圧計・体温計・聴診器等は専用とする。使用後アルコールで消毒する。
F 食器は一般用と一緒に洗浄する。
G 車椅子、ポーターブル便器等はアルコールで消毒する。
H 入浴は、入浴者の最後とし、毎日入浴する。入浴後ムトーハップ湯をかける。
I 寝衣・リネン類は毎日交換し、ビニール袋に入れ、「感染」と明記する。
J 殺虫剤を病室の四隅に噴霧し15分以上放置し、掃除機で吸引清掃する。
K 患者・家族に十分説明する。
B.白癬症
(1)はじめに
白癬症は、俗に水虫と言い、白癬菌(Trichophyton )という真菌(カビ)によって発症する皮膚感染症である。白癬菌は、
皮膚の角質層に住みつき角質の成分であるケラチンをケラチナーゼで分解し、栄養源にして増殖している。
白癬菌は、温かく湿潤な環境を好み、温度26℃前後、湿度70%以上の時最も活性化する。
(2)病 型
@ 足白癬−−趾間型(趾間のびらん・落屑)、小水疱型(足底・足縁に小水疱を生じ痒みを伴う)、角化型(足底の角
質増殖と落屑)がある。
A 手白癬−−足白癬に似るが、片側のことが多い。
B 爪白癬−−爪が肥厚し黄色調に混濁し、もろくなる。
C 頭部白癬(しらくも)−−小児の頭部に好発し鱗屑局面を生じ、脱毛し易い。
D 体部白癬(ぜにたむし)・股部白癬(いんきんたむし)−− 頑癬とも言う。中心治癒傾向のある輪状紅斑、痒みを伴
う。陰嚢は侵されない。
(3)感染経路
白癬菌の感染力は弱く、少し触れただけで感染するものではない。白癬症患者の落とした皮膚の落屑や垢が他の人の皮膚
に付着して感染するため、浴室のマットやスリッパ等は注意を要する。
(4)感染対策
@ 1日2回、外用抗真菌薬の塗布。
A 症状が軽減しても、再発・再燃し易いので、自己判断で勝手に治療を中止しないように説明する。
B 患部の清潔を保ち、趾間や指間等の水分を拭き取り、十分乾燥させる。
C 処置後は、手洗いを励行する。
D バスマット・スリッパ・タオル・衣類に付着した垢や落屑から感染するので他人と共有させない。
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